不用品回収業者の選び方

※昭和市場でも生前整理・遺品整理で不用品回収を行っておりますが、本記事は一業界を深く知るプロとして、後悔せず満足いく業者の選び方を説明致します。昭和市場は現在東京都心部のみと限定させて頂いておりますので、それ以外の地域の場合は参考にして頂ければ幸いです。

■不用品回収の現実と基礎知識

 ゴミの処理含め全てを丸投げできる業者は、実はほとんど存在しません。家庭の一般ゴミを回収するには「一般廃棄物収集運搬」の許可が必要ですが、自治体ごとの許可制のため99%以上の不用品回収業者がこの許可を所持しておりません。ご家庭に毎日のようにチラシが投函されると思いますが「ゴミ処理」においては、ほぼ全て違法の可能性が高いのが現実です(「産業廃棄物収集運搬」許可をうたう業者もありますが、家庭ゴミは産業廃棄物ではないため回収はできません)。

 ただし「再利用可能なもの(つまり売れるもの)」を回収する場合は「ゴミ」ではなくリサイクル品ですので、「公安委員会の古物商許可(行商申請)」があれば回収・買取することが可能です。チラシをよく見ると「不用品回収」と書かれているケースが多いのはこのためです。つまり「(売れる)不用品(ゴミ以外)回収」というのが正しい理解です。チラシによっては「ゴミ屋敷片付け」や「何でも回収します」と書かれているものも多く目にしますが「ゴミを回収」した時点で違法なのです。

 「トラック積み放題パック」をうたう業者は、実は「売れる不用品だけ」有料で回収します(依頼者と売却先両方から収入を得ます)という仕組みです。そしてゴミ回収を依頼した時点でパック料金外として「法外な別料金」を請求し、ここが大きなトラブルになっています(本来、ゴミ収集自体が違法ですし、業者はそれを理解した上で行っています)。

 違法業者が、違法と知った上で請求する訳ですから、強引な方法や、法外な請求のケースや、不法投棄等、廃棄物が正しく処理されない可能性が高いのはご理解いただけると思います。中には「違法なゴミ収集を依頼した時点で、依頼者も違法行為の共犯者」と脅されるケースもあり、トラックに積み込んだ後に追加料金を請求したり、本来回収して欲しくない貴重な物を強制的に回収される事例も後を断ちません。合法的な収集であっても処分は有料です。そしてゴミを回収した業者は、そのゴミを合法的に処分することができないため不法投棄せざるを得ません。特に個人情報の流出リスクが重大と考えています。環境省や消費者庁、国民生活センターや東京都、各自治体が必死に注意喚起をしているのはこのためです。

それでは、どのようにすれば良いか、もちろん方法があります。

■まずリサイクル可能か、ゴミかを分別

① 整理したい物の中で「売却・再利用・リサイクル」可能なものと、ゴミを分別する
 価値があるものはもちろん、思いもよらないもの(金庫・物置・壊れた古家電等)が高額売却できる場合は多くあります。最も高く売却するにはネットオークションやフリマアプリを活用し「直接買い手に売る」のがオススメです。また貴金属や高級ブランド品、骨董品などは、専門の業者の買取が高い場合もありますので、業界に詳しい方に聞くか、少なくとも3社以上に相見積もりをとられることをオススメしますが、想像以上の買い取り価格の開きに驚かれると思います。
※一般的な買取業者の場合は、自身で直接売る場合と比べ1/3〜1/10以下になる場合も珍しくありませんので「とにかく金額関係なく引き取って欲しい場合」には利用されても良いと思います。

② ゴミの処理は基本「自治体の回収」を最大限活用
 先の基礎知識で、業者によるゴミ回収が違法という話をしましたが、ほぼ自治体の収集・粗大ゴミ回収をすることで解決できます。ただし、燃えるゴミ・燃えないゴミ・資源ゴミ等の分別が必要ですし、一度に回収できる量は自治体にもよりますが「1家庭1度に3袋程度」とされています。しかし各自治体は「臨時ゴミ回収」としてまとめて回収してくれる場合もあるので、活用できます。
 また粗大ゴミの搬出も、シニアの場合自治体が無償で運び出ししてくれる場合もありますので確認してください。知人やボランティアに頼む方法もありますし、便利屋を活用する方法もあります。
 そして、自治体から正規の「一般廃棄物処理業者」を紹介してもらえる場合もあります。この場合も、複数社紹介されますが、金額は実際実地見積もりが必要な上、金額には開きがありますので相見積もりをお忘れなく。

◆遺品整理依頼時の注意点

遺品整理を依頼する場合に特に気をつけるポイントをあげておきます
・信頼できる業者を選び、必ず立ち会う
 生前であれば本人が価値を知っている場合も多いですが、遺品の中に思わぬ価値ある品がある場合があります。完全に業者に任せきりの場合、これらが発見された際に報告されない場合もあり得ることを知っておいてください(元々存在を知らない訳ですから、報告されなければ分かりません)。タンスの奥に隠していたヘソクリ等、元々「高価なものはないはず」といわれていたのに、数十万円分の貴金属が発見されることも珍しくありません。

・品物は写真と型番をメモ
 写真撮影と型番をメモすることである程度価値を把握することができます。業者から説明された際に具体的に質問することで無知に乗じた過小評価を防げる可能性もあります。

・事前に家族には説明を
 もし他にご家族がいらっしゃる場合は、どなたかが「形見分けとして欲しい」という場合もあります。また処分したあとに「もらうはずだった」という場合もあり得るため、事前に関係家族には伝えておくことも重要です。

・費用負担方法は家族にも事前に確認
 遺品整理の費用負担は「相続人」が負うものとされています。複数人いる場合、その費用負担については事前に相続人の間で話合いをしておくと安心です。分配前の相続財産から引くことは法的な問題が発生する可能性もありますので、事情がある場合は専門家に相談することをオススメします。

・相続税額に影響する場合も
高価な財産価値があるもの(貴金属類等)であれば相続財産とされる場合も十分あり得ます。遺品整理費用の範囲に収まる場合でしたら問題になる可能性は低いですが、大幅に超える場合は相続税等の計算に影響する場合があります。相続税額を算出する際には十分ご注意ください。

 このような様々な注意事項があるため、安さを売りにする業者は避け、納得して信頼できる業者に依頼することをオススメします。

 実際はこれらを全てご自身で対応されるのは難しい場合もあるかと思いますので、ご家族やご親族、友人、信頼できる知人等に同席してもらうだけでもある程度は効果がありますので、このようなニーズに対応できる業者がいない場合は意識しておいて間違いありません。

■参考:国や都の注意喚起情報

・環境省による注意喚起情報(無許可回収業者に依頼しないでください

・東京都環境局による注意喚起情報「違法な不用品回収業者対策